ヒヤリ体験 事例と対策1 article04-1

農作業事故が相変わらず発生しています。
誰もみずから事故を起そうとは思っていないのですが、ちょっとした注意力の低下、 動作の遅れなどが事故につながっています。
注意力の低下や動作の遅れ、判断の間違いなどはだれもが体験しています。 小さな失敗のもとが、重大事故になったり、小さなけがになったり、びっくりするだけだったり、 結果が別れますが、事故の芽は共通です。事故の芽を摘むことにより、 悲惨な事故を減少させることは可能です。
今まで、事故調査は死亡事故を中心に行ってきましたが、 死亡事故の直接原因や間接原因はあくまで想像することしかできませんでした。 そこで、一歩間違えれば事故になっていたが、びっくりしただけですんだ、 いわゆる「ヒヤリ体験」を報告していただき、それらを分析することで、 事故防止対策に結びつけることにしようという活動を開始しています。 この資料は、「ヒヤリ体験第1集」として作成しました。読んでいくと、 皆さんも同様な体験をしていることに気がつくと思います。誰もが体験するヒヤリについては、 人間の行動特性に基づくものですから、機械技術などでハード面からの事故防止対策と、 安全作業意識の向上と安全行動の励行などのソフト面からの指導を並行して取り組む必要が出てきます。

ヒヤリ体験188例のヒューマンエラー解析

それでは、数多く寄せられたヒヤリ体験から、いくつかについて事例解析を行います。ヒヤリ体験の内容を記述した188件を分析したグラフです。割合は地域によって変化すると思います。

また、1)知覚・認知のミスへの対策は、表示やディスプレイを見やすく、 わかりやすく工夫すること、などが考えられます。 2)判断・決定のミスへの対策は、教育の方法や内容、手順書の見直し、などが考えられます。 3)動作・操作のミスへの対策は、機械を改良したり、操作方法などの訓練を強化する、 などが考えられます。

指導:石川 文武(農業博士/生物系特定産業技術研究推進機構)
農作業安全運動推進本部 編